Spaというと、「洋風でボディトリートメントなどをしてくれる施設」というものを思い浮かべる方も多いと思いますが、実は温泉は世界的にSPA(スパ)と称するようになっている。hotspring(ホットスプリング)と英語では言うこともありますが、あまり一般的ではありません。
Onsen Consultingのページでも記載しましたが、日本の温泉には法律で定めた定義が、ホットでなくても(25℃以下)ある程度の成分(19項目のうち1つ以上)があればOKなので、このような日本の温泉の意味あいから考えると、温泉はホットスプリングよりスパの方に親和性があって当然のようにも感じます。
ところでSpaはどこで生まれたものかご存知でしょうか。Spaの語源を調べてみると諸説あることがわかります。
・ベルギーにある温泉療養地でミネラル水でも有名なSPAという土地の名前から来ているとする説。
・ラテン語で水を介する癒し健康法というような単語の頭文字S・P・Aをとったものという説。
S=SOLUS 治療する
P=PER ~を通して
A=AQUA 水
・イタリア語で、salute(健康) per acqua(水)の略で、水による健康、鉱泉を体に取り入れることにより健康を保つというのが語源という説。
・ラテン語の「温泉施設における潤い」である“スパゲーレ”が変化したものであるという説。
また、最近のスパの定義に関する参考資料として、International Spa Association(ISPA)が定めるスパの定義をご紹介しておきましょう。
■1991年制定 スパの定義
the spa experience as “your time to relax, reflect, revitalize and rejoice”.
「スパ体験」を通じ、スパを「リラックス、リフレクト、リバイタライズ、リジョイス(安らぎ、気づき、再生、至福)の時」
■2003年改正版(※1991年の定義があまりにも抽象的との指摘があり改正)
Spas are entities devoted to enhancing overall well-being through a variety of professional services that encourage the renewal of mind, body and spirit.
「スパは、心、身体、霊性の回復を促進する様々なプロフェッショナルなサービスを通じてトータルな健康を促進するために寄与する」
■「10 spa domains」
スパをめぐるテーマ:10の領域(※1991年以来改正されていない)
今日のスパ・ムーブメントの基本概念をテーマ別に記したもので、スパを理解する第一歩として(多分に抽象的ですが)一読をお薦めします。
Waters: The internal and external use of water in its many forms.
水:水は体の内と外で、さまざまな形で利用される。
Nourishment: What we feed ourselves: food, herbals, supplements and medicines.
滋養:食物・ハーブ・サプリメント・医薬品など、私たちが自分の体に与えるものが「滋養」である。
Movement: Vitality and energy through movement, exercise, stretching and fitness.
運動:エクササイス・ストレッチ・フィットネスなどの運動をとおして活力とエネルギーが生まれる。
Touch: Connectivity and communication embraced through touch, massage and bodywork.
タッチ:マッサージやボディーワークなどのタッチを通して一体感とコミュニケーションが受容される。
Integration: The personal and social relationship between mind, body, spirit and environment.
統合=インテグレーション:精神・肉体・霊性が、個人的・社会的なレベルで環境と調和し連携している状態を「インテグレーション」(統合)と呼ぶ。
Aesthetics: Our concept of beauty and how botanical agents relate to the biochemical components of the body.
エステ(美):私たちの美に関する概念および植物系薬効成分が肉体の生化学組成とどのように関連しているのかについての理解が「エステ(美)」である。
Environment: Location, placement, weather patterns, water constitution, natural agents and social responsibility.
環境:地理的立地条件、気象・水利条件、自然に内在するエネルギー、そしてその土地における社会的責任のすべてを含めたものが「環境」である。
Cultural Expression: The spiritual belief systems, the value of art and the scientific and political view of the time.
文化の表現:心についての考え方、芸術に対する価値観、そして科学や政治についてのその時代の観点が、「文化の表現」である。
Social Contribution: Commerce, volunteer efforts, and intention as they relate to well-being.
社会的寄与:人々の福祉に関連する商業活動およびボランティア活動と、そこで意図されているものを「社会的寄与」と呼ぶ。
Time, Space Rhythms: The perception of space and time and its relationship to natural cycles and rhythms.
タイム・スペース・リズム:時間や空間に対する感じ方と、自然のサイクルやリズムとの間に関連性がある、というテーマが「タイム・スペース・リズム」である。
このように、かなり広範囲に渡っております。
単なる温浴施設から「総合健康施設」へと進化しています。
日本の旅館も上記のような思想に沿って進化している施設がたくさんあるように思われます。
富裕層温泉総合研究所は、このような旅館が「Japanese evolutionary Spa」として、Global PRをしていく価値が十分にあると考えています。下記フォームから随時お問い合わせください。